自律神経とは
まずは自律神経の説明を簡単にお伝えします。
「肘を曲げよう」と思って腕に力を入れたとき、筋肉が縮んで肘(関節)が曲がります。この時に筋肉を動かす神経は運動神経です。
主に脊髄から出ています。
顔面の筋肉を動かす神経は脳から出ています。
運動神経の場合、自分が動かそうと思えば動かすことができ、動かさないと思えば動かさずに済みます。こういった動きを随意運動といいます。
反対に、心臓を止めようと思ったり、内臓を止めようと思っても、その働きを止めることはできません。これを不随意運動といいます。自律神経は不随意運動を引き起こしています。
血圧や体温、発汗なども自律神経がかかわっています。
自律神経の種類は
自律神経は大きく分けると以下の二つになります。
- 交感神経:緊張タイプ
- 副交感神経:リラックスタイプ
この二つはシーソー的な働きをするので、片一方が活発(優位)に働いているときは、もう片方は働きを抑えています。
どちらも大切だけど、バランスが大切なんですね。
交感神経の働き
交感神経の働きは、『戦っているとき』のイメージです。
毛細血管を細くする:出血しにくくするため
血圧を高くする:筋肉に血液を供給するため
消化器系の働きを抑える:筋肉に働いてもらうため
顆粒球(白血球)を増やす:細菌に抵抗するため
まさに戦っているときの働きなので、毛細血管が細くなり循環が悪くなります。
また傷ついたときに細菌が入ってきてもすぐに抵抗できるように顆粒球が増えます。この顆粒球は活性酸素を排出するため、正常な細胞も傷つきやすくなります。
循環が悪くなり、細胞が傷つきやすくなるので、細胞のガン化が進みやすくなります。
そして、度を超えたストレス状態になると、ストレスホルモンが多くなり、身体のあちこちに痛みが徐々に出始めます。
現代社会では、昼間は動くことが多いので、適度な交感神経優位の状態が好ましく、実際にそうなりやすいです。
しかし、昼間と夜のスイッチのON/OFFができなくなって来ると、夜も交感神経が活発な状態になってしまい、身体は休まることができなくなります。
これが、現代病の最も多い原因となります。
副交感神経の働き
副交感神経は交感神経とは反対で、リラックスがキーワード。
毛細血管を太くする:循環がなだらかになります
血圧を安定させる:血液の流れをゆっくりにします
消化器系の働きを促進する:内臓の筋肉が動きます
リンパ球(白血球)を増やす:ウイルスに抵抗するため
副交感神経はリラックスしている状態に働きやすくなる神経です。
その働きは、ストレス軽減です。内臓も適度に動きます。
寝ている最中はケガをすることはほとんどないですが、ウイルスへの対抗はしておかなければいけません。そのためにリンパ球が増えます。
実はリンパ球の中のNK細胞はガン化した細胞を除去する働きがあります。
また、安定的に血液が隅々まで届きやすくなるため、細胞の修復も進みます。
ただし、昼も夜もリラックスした生活、もっと言えば刺激がなく堕落した生活をしていると、適度な血管の引き締めが無くなってしまい、充血・うっ血状態になりやすくなります。症状で言えば、アレルギー反応が出やすくなります。
ですので、昼間は交感神経優位な状態、夕方以降は副交感神経が優位な状態を意識した生活が理にかなっている生活といえます。
自律神経と病気
交感神経も副交感神経もどちらも大切な神経ですが、どちらか一方ばかりが優位に働きすぎていると病気になります。
たとえば、交感神経が過剰に働いている時間が長すぎると、循環が悪くなったり、内臓の働きが悪くなり免疫が下がったり、血糖値も高くなりやすくなります。
一つの見方で言えば、病気は自律神経の偏りによって起こると言っても過言ではありません。
病気回復に大切なこと
このことから、病気や痛みの回復には、まず自律神経がバランスよく働く生活リズムや生活の質を身に付けることが大切になってきます。
もちろん、心の緊張も交感神経を刺激しますし、心のリラックスは副交感神経の働きを促進します。
まずは、自律神経の働きをベースに考え、自分がどのような生活をしているのかをハッキリさせることが大切です。
それがわかれば、生活リズムと生活の質の改善策を考えることができるようになります。
白血球と自律神経の関係
白血球は大きく分けると3つに分けられます。
マクロファージ
顆粒球
リンパ球
マクロファージは死んだ細胞などを食べて消化する掃除屋さんみたいなもの。
顆粒球は細菌をやっつけるもので、反応性が強い活性酸素で細菌をやっつけます。ただ、活性酸素は反応性が強いため、最近だけではなく正常な細胞も傷つけます。
リンパ球はウイルスをやっつけるものです。免疫系にも関係します。リンパ球の一つNK細胞はガン細胞もやっつけます。ただ、増えすぎるとアレルギー反応を引き起こします。
交感神経が優位な時は顆粒球が増え、副交感神経が優位な時はリンパ球が増加傾向にあります。
こんなところに気をつけよう
現代人の場合、病気(ガンも含む)や鬱症状などの大半の原因は交感神経が優位に働きすぎているために起きます。
交感神経が過剰に働いている原因は、物質的なストレスと精神的なストレスです。
ストレスが一概に悪いものというわけではありません。適度なストレスは日常のスパイスとして働き、心や身体に活気をもたらしますが、病気になる方は過剰ストレス状態になっているのです。
ですので、自分の身体と精神にとってストレスになっているモノ、そしてストレスになっている人間関係などを紙に書き出すと、気を付ける部分が見えてきます。
ストレスにはどんなものがあるのか
ストレスは大きく分けると次の3つです。
心のストレス
食べ物のストレス
身体のストレス
心のストレス
精神的ストレスと感情的ストレスがあります。
精神的ストレスは思考、つまり考え方・捉え方のストレスです。同じ現象が起きても捉え方一つでストレスとなるかどうかが極まります。
これは考え方の癖のようなものなので、何か精神的なストレスが起きた時は「これはどうしてストレスだと思うのだろう?」と自分自身を見つめてみましょう。
もしかすると、変な思い込みを持っていた自分に気が付くかもしれません。
感情のストレスは自分が蓋をしたい感情についてくるものです。
たとえば、怒りを表してはダメという思い込みがあると、怒りがストレスになります。こんな時に悲しんではダメという思い込みがあると、悲しい感情がストレスとなります。
ほとんどが小さいころの親との関係や過去の出来事に紐づけられた感情です。
感情は単なるバロメーターでしか過ぎません。悲しい時は「自分が悲しいのか」、怒りの感情に気が付いたら「自分は怒っているんだね」と自分自身をしるバロメーターです。それを十分に味わって、何に対してその感情を持っているのかを確認するだけで、感情のストレスはなくなっていきます。
食べ物のストレス
これは食べ過ぎなどもありますし、糖質やグルテンの摂りすぎによる内臓への負担、人工甘味料などによる負担などが含まれます。一番の問題は食べ過ぎです。
身体のストレス
動きすぎ、働き過ぎによるストレスです。少しでも思い当たる場合、睡眠時間を長くしましょう。
眠れなくても横になっている時間が大切です。横になって深呼吸をして、心と体を休めてください。
副交感神経を刺激するための手段
大抵の場合は、交感神経が優位に働きすぎて病気になります。ここでは、副交感神経を刺激する手段をお伝えします。
身体の歪みを整える(ボキバキは必要なし)
好きな音楽を聞く
お風呂にゆったり入る
たくさん笑う
手や足の末端を刺激する
朝早く起きて、お日様の光を浴びる
リズム運動をする
深呼吸をたくさんする
瞑想する
夜ははやめに横になる
交感神経を優位にする生活スタイル
知らず知らず、心身に負担をかけて交感神経を刺激しているかもしれません。
交感神経を刺激する生活も下に書いておきました。
人間関係(良くも悪くも原因に)
偏食、過食(暴飲暴食)
過酷な労働
過労(仕事、家事などを含む)
自分の時間を取らない
身体の歪みを放っておく
冷たいものを好んで食べる
夏はガンガンに冷房をかける
冷え性をそのままにしておく
自分の身体を大切にしない
薬の多用(4種類以上の薬)
文句や悪口(言っているときは緊張状態)
自分の感情はコントロールできないものだと思っている
大気汚染
寝るときの明るさ(PCやテレビなど)
人によっては旦那・・・(汗)
やっぱりバランスが大切
交感神経も副交感神経も、どちらも大切です。
ただ、そのバランスが崩れた時に病気になりやすくなります。
それを放っておくと病気になります。
自分がストレスになることは何かな?
自分がリラックスできることは何かな?
嫌なこと、やりたくないことは何かな?
楽しいこと、幸せなことは何かな?
まずは紙に書き出して、自分自身を見つめ直すということもとっても大切ですね。
今までがどうだったかは置いといて、これからどのような生活・人生を自分で創っていくか。
ただそれだけを考えて、進んでいただけたらと思います♪